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 「第26回津軽弁の日」は、2013年10月23日に青森市文化会館で開催し、各部門の入選作品を発表いたしました。
 今回は、1,737の応募作品が集まりました。たくさんのご応募ありがとうございました。


【高木恭造賞】
体験記の部 「よでっこ」 澤田 茂博(青森県青森市)
【牧良介賞】
体験記の部 「鏡」 工藤 千里(青森県弘前市)

 第26回津軽弁の日 応募作品総数:1,737作品

第26回津軽弁の日入選作品詩の部
応募総数:141編 青森県98編・県外43編
佐藤るり子(青森県五所川原市)『父さんの料理』

昭和7年生まれの父。頑固一徹な父。
生きていたら今は80歳になっている。
亡くなってから10年になるけど、 父さんの味はあとにも先にもこの味だけ。

あれはおらがまだ小学校さあがる前だったべが。
夏の暑い昼、母が用事でいねがったんだびょん。
父さんどふたりでいだとぎ、
「父さん、腹減った〜」っていうと、
「なんも食うものねや〜。んでも待ってれ」と言う父。
あんかの時間、流しのテーブルで、 足ブラブラさせながら待ってだ。

したっきゃ「か〜、かなが」って湯飲み茶碗一個出できた。
「ん?」って見んだっきゃ、 湯飲み茶碗の中さ、醤油、かがってらまま入ってだ。
他人がみんだら、多分、犬よりも粗末なご飯だったびょんせ。
んでもおらは、あっつ〜ままさ醤油かがってらそのままが、
がっぱどめふて、「め〜め〜」って食ってまった。

片石 一成(青森県青森市)『春』
母(かっ)ちゃつぐった赤(あげ)ェ飯(まま)くるんだ
甘(あめ)ぇ いなりコ
観桜会(かんおうかい)、父(とっ)ちゃ歯デむしって
のべだ、ガサエビの かまりコ
窓(まんど)ブヂさ まるまて 背中(へなが)動(いの)がす子猫(ちゃぺ)
舌ぁそりがえらへデ でったらだ
あぐびす犬(ちび) クローバーの野原(のっぱら)サねまて
つないだ手コのぬぐもり
せんだぐ物 ただんだままあ
舟こいでる 妻(かが)
けんど がしゃがしゃテ
走(はっ)けで笑う子供達(わらはんど)
時(とぎ)暮らしてぇ
今ァ、わのあぐらの中(なが)ァ ぼのご向げで
本コ読む孫(めご)
心(こごろ)の中あ
へずねェ時(どぎ)
すげねェ時(どぎ)
眼(まなぐ)つぶテー
心の内ポケット(かぐし)がら出ヘバ
ほこほこてェ
気持ぢァぬぐだまる
ワぁの春(たがらもの)
ださも、しかへらェネ
ワぁだげのたがらもの
得丸 文野(青森県八戸市)『まきり』

年老いた母と
ランチを食べに行くことになり、
何が食べたい?と聞いた。
母は、寿司でもフランス料理でもなく。

答えは「馬肉(ばにぐ)」
二人で馬肉の尾形で、馬肉鍋をつづいだ。

なんで食べたいものが馬肉なのか
母に聞いてみた。

年老いてあまりいろんなことを
わざわざ言わなくなっている母が
話してくれた話し。

むがし、
家で飼っている馬が病気とかなにがでなぐなれば、
近所の人が訪れるのさ。
「いや〜あんたのうぢのいだわし馬なぐなって、なんぼ悲しいば」
でも。
そして言うひとだぢの懐には、
「まきり」っていう名前の馬を切り分ける包丁がはいっていで、
最後には馬の肉切りわげで、
ほくほくって帰っていぐ。
そしたごどあったのさ。

ただ母とランチ食べに行った時に、
意外に生々しい馬を切る包丁の話しをきいだのさ。

普段は津軽弁もあまりしゃべねぐなって、
シゴドの関係で八戸市で暮らしてるけども、
口数少なくなった母のそんな話を聞くと、
ちょっとへながっこじゃわめで、
やっぱわだきゃ津軽の女だねって
思うはんでさ。

福地 順一(北海道札幌市)『花』

桜(さぐら)の花も林檎の花も
二月の雪(ゆぎ)、三月の風(かじぇ)、四月の雨で 五月ネ咲ぐんだね

人間(ふと)も同じ
雪ネも降らえねエ
風(かじぇ)も吹がえねエ
雨ネも当だらねエ人間(ふと)だけァ
花ア咲がねエンだネ

温室に大木なく寒門に硬骨あり、だけア

堀谷 大輔(青森県青森市)『なぬかび』

わのじっちゃ、ねぶたコ好ぎだ人で
わが小さい頃から、ねぶたサ跳ねだり、ねぶたコ見たりとかででけだもんだ

おかげでわもねぶたが大好きになって
毎年決まった場所サ行ってじっちゃどねぶたコ見だもんだ

高校に通っていたとある秋のこと
そんなじっちゃが亡ぐなりました

亡ぐなって1週間が経とうとしたときのこと
法事の為に休むことを担任サ伝えに行きました

わは真面目な顔して
「先生、明日、なぬかびだはんで休みます」

ってした

そしたっきゃ担任の先生、しばらく考えて、

「なぬかび?おめ、それ喋るんだば初七日だべさ!」

わは顔が真っ赤になりながら、
なぬかびと初七日がごっちゃになってたことに気付きました

ねぶたが好きだはんでつい間違えでまたんだはんで
許してけろじゃ、じっちゃ

第26回津軽弁の日入選作品俳句の部
応募総数:417句 青森県80句・県外337句
わんかだげ ビール残すて 花火待つ
小山内 直人(青森県青森市)

めらはどのよろたまちこい夏(なづ)が来る
小松 武治(東京都中野区)

がほらどして コンミドシゲネ 蝉の殻
神 繁雄(青森県青森市)

我(わ)ど同(ふと)ず 香(かま)りこしてる 落ぢりんご
三浦 蒼鬼(青森県黒石市)

夕焼けやあちゃを想えばあちゃの色
小田中 準一(千葉県市川市)
第26回津軽弁の日入選作品短歌の部
応募総数:301首 青森県192首・県外109首
婆ちゃど蠅 追(ぼ)って追(ぼ)らえで 命(いのぢ)がげ 
                     蠅取り紙さ 婆っちゃねぱてら
三浦 蒼鬼(青森県黒石市)

ばげのまま 何食いてがど 聞くおばあ 
               「肉」て言ったっきゃ 「今日 魚だね」
片山 大智(青森県平川市)

右足も左の足も湿布(しぷ)だらけ 
               湿布で出来(でぎ)だ モモヒキ欲しの
村上 靜子(青森県黒石市)

夫婦ゲンカ 茶わんば投げで 出はてげて 
                   かが仕返しに ねご投げで出る
伊藤 禎彦(青森県八戸市)

アバ笑顔 検査の結果 異常なし 流しに響ぐ 嫁の舌打ぢ
松山 一誠(青森県板柳町)
第26回津軽弁の日入選作品川柳の部
応募総数:722句 青森県392句・県外330句

湯船がら 溢(まが)る汝(な)ど我(わ)の 皮下脂肪
三浦 蒼鬼(青森県黒石市)

あづましい すぼどのホッケ かっぱにス
小寺 花峯(青森県平川市)

どせばいべ サスペンスの曲(きょぐ)ながれそう
吉田 悦子(青森県黒石市)

とろければ ねぐなる 買えば 出はて来る
小山内 俊子(青森県青森市)

好ぎだぃに へばいでばって いう反対
「僕は‥」って 一生(いっしょ)しゃべねで わきゃ死ぬびょん
ちょすたのが 分がらいでまる 結び方
二階がら 「内緒だはでの」って 叫ぶカガ
吉町 修一(青森県青森市)

第26回津軽弁の日入選作品体験記の部
応募総数:153編 青森県109編・県外44編
佐藤 良子(青森県青森市)『枝豆』
 3、4年前の事ですが、枝豆が店に並ぶこの季節になると思い出す、一瞬の出来事を紹介します。
 場所は、黒石から城ヶ倉大橋へ向かう途中の産地直売所です。
 お店の中には観光客と思われる中年ご夫婦がいました。そこへ年配の女性が入って来て、店先にあった枝豆をとりあげて
「マメ メ ガ?」
店の方
「メ ヨ!!」
 その会話を聞いていた中年ご夫婦は顔を見合わせ、きつねにでもつままれたようなア然とした表情…。
 今でも枝豆を見るとあの時の情景を思い出してしまいます。
小山 和歌子(青森県藤崎町)『耳訛り 津軽弁』
 私の姪は舞美(まいみ)という名前ですが、小さいころから「舞(マイ)」と呼ばれています。
 今年のお盆のこと、毎年兄家族がそろって実家である我が家に遊びに来るのですが、今年は、舞の姿がありません。アルバイトを始めたとかで、忙しいそうです。私と舞の祖母である母と「舞も大人になったんだなあ」とか「夏休みも休みなしで大変だな」とか言いながらも、さみしさはありました。そんな気持ちを察したのか、兄が、舞の都合が良ければ、夜、バイトが終わってから連れてくると言ってくれたのです。
 その日の夕方、兄家族が墓参りをすませていったん帰宅しているうちに、我が家には近所に住む従弟たちがやってきていました。兄もまじえて飲み会する気満々です。
 しばらくして、再び兄が現れました。
 兄を見て開口一番母が言いました。
「舞ば、へできたんだな?」
「ううん、へでこねがった。」
と答える兄の後ろで従弟がつぶやきました。
「もう入れ歯だな?」
一瞬の静けさ…。そして爆笑。
我々には「舞を連れて来たの?」の意味が、ハタで聞くと「前歯を入れて来たの?」にもきこえるのだ。
 耳も津軽なまりになっている証拠だ。
澤田 茂博(青森県青森市)『よでっこ』

あれは、高校受験のころだ。先生が「おめ、8人兄弟の5男坊のよでっこだな」てしゃべる。

わ たまげてまって、「7人兄弟の、4男坊の末っ子だ」てしゃべた。

家(い)さ帰って、あばさ聞いだ。こたら話づもの難(むずが)しいはで、ながなが タイミングずのあって聞げるもんでネ。

そいでも、あの頃 わ 真面目で、受験勉強しでいだ。たんげ 晩げも遅くなって、2階(げ)から下さ降りだ。

あば 炉縁(ろぶち)で1人で縫い物していだ。

「あば、わ 今日 学校で 8人兄弟の5男坊のよでっこだてしゃべらいだけど、本当だな?」て聞いだ。

「本当だ、おめの 2番目の兄、生まれで3つで亡ぐなった。したはで、おめ 知らねんだね。」

わ その時(どぎ)初(はじ)めて兄の名前聞いだ。

「死んだわらしづの、一日(いじにち)も忘えだごとネ。生ぎでれば、なんぼなんぼだ。」て しゃべた。

わ 聞いだ。「せば 兄弟で、誰 一番(いずばん)めごいんず?」

「みんな めごい。 わの腹がら出だんだもの、皆めごい。そいでも な 一番(いずばん)めごい」てしゃべた。

「なして?」

「よでっこずもの、なんぼ生ぎでも、親ど生ぎるの 一番(いずばん)短(みず)け。したはで、な 一番(いずばん)めごい。」

炉縁(ろぶち)の火 赤(あが)く燃えでいだ。わ 泣いだ。あばも 泣いでいだ。

わも 嫁っこもらって、人の親になった。あばの歳さ近ぐなった。
親の気持ち判(わが)ってきた。

わも もうすぐ23になる娘ば、病気(やめ)で亡ぐした。わも 娘の歳ば数える。

古川 祐樹(神奈川県横浜市)『けば、いっきゃさ』

神奈川に上京して二年目の夏の夜
私は1人居酒屋へ行き、演歌を聞きながら日本酒を飲んでいました。
すると隣に座っていた女性が話しかけてきました。
年の頃は20後半、肩まで伸びた金髪と、まじりっ気のない標準語、都会の女性でありました。

上京してから、津軽弁が都会の人には通じないことを学習した私は、なるべく標準語で会話をしていました。
会話もはずみ、二人で別の店で飲みなおそうという話になりました。

なかなかオシャレな店に入り、とりあえずドリンクを頼んだところで、女性が
「ちょっとお色直ししてくる〜」
と、言いお手洗いに向かいました。

時間は午後10時過ぎ、これはいけるかな?と邪な考えが頭をよぎる。
いやそんな考えはだめだろ!と、思い直し、頼んであったカクテル「ブラッディメアリー」を一気飲み。

この一気飲みがまいねがった!
「ブラッディメアリー」なるものは、ウォッカが多量に入っており、強いお酒であったのだ!
酔いがまわれば素が出る!そう、隠していた津軽弁がでてしまう!

なにかふわふわしたような感じになってしまった私は、
(いやぁ〜まいまいまい!これだばまねじゃ!)と焦っている最中に
「おまたせ〜」と女性がお色直しから帰ってきたのである。
なんとか平静を保ちつつメニューを渡し、何でも好きなやつ頼んでいいよ?とすすめました。

もう頭の中がくわんくわんしている私は、「もうかえりたい」という考えでいっぱいでした。
そんな時に女性が「これ頼んでいい?」
と、聞いてきたので
「おぉ、けばいっきゃさ!」
と一言
その時周りが凍り付きました
女性「なに?けばいってどういうこと!?」
私「んん?なにいっちゃんずやおめぇ?なんぼでもけばいってらっきゃさ?」
女性「はぁ?信じらんない!私帰るから!!」

帰っていく女性、店内の冷たい目線が突き刺さる私
「え?なに?どういうこと?」と、テンパっていた私に店員さんが
「お客様?女性に向かってケバい、というのはどうかと思いますよ?しかもその後にも、なんぼでもケバいって言ってやるよ、というのも不味いかと。」

呆然とする私、とりあえず店員さんの誤解を解き、追加のドリンクを注文した私は、「もう二度と飲み歩くときは標準語つかわねぇ!」と心に決めました。

工藤 千里(青森県弘前市)『鏡』
近頃としょってまって、とっちゃさ

「とっちゃ、わ自分の顔、鏡で見ればゾッとする。」

としゃべったきゃ、

「おめだば、鏡見ねばそれで済むべけど、毎日おめの顔見らさる、わ、どせばいいだば。」